ストップ高やストップ安で売買が成立する「比例配分(ストップ配分)」は、証券会社によって顧客への配分方法が異なります。
以前は「早く注文すれば有利」「成行注文なら配分されやすい」といった短い説明も見られましたが、現在のルールはもう少し複雑です。この記事では、2026年8月31日時点の公式情報をもとに、SBI証券、マネックス証券、楽天証券、松井証券の比例配分ルールを整理します。
<二段階で配分される>
取引所から証券会社への配分と、証券会社から顧客への配分は別のルールです。
<証券会社ごとに違う>
注文条件、発注時刻、注文数量など、何を優先するかは各社で異なります。
<必ず約定するわけではない>
注文を早く出した場合や注文株数を増やした場合でも、配分を受けられないことがあります。
比例配分(ストップ配分)とは
売買のバランスが大きく偏り、制限値段であるストップ高またはストップ安で終値を決める場合、通常の板寄せとは異なる方法で売買を成立させることがあります。これがストップ配分です。「比例配分」「ストップ高比例配分」「ストップ安比例配分」と呼ばれることもあります。
比例配分は次の二段階で行われます。
- 取引所から証券会社へ配分
制限値段に出ている注文を証券会社ごとに合算し、注文数量の多い証券会社から1売買単位ずつ配分します。 - 証券会社から顧客へ配分
取引所から割当てを受けた証券会社が、自社の配分ルールに基づいて顧客へ割り当てます。
つまり、取引所で使われるルールが同じでも、最終的にどの顧客が約定するかは証券会社によって異なります。ここを分けて考えることが大切です。
4社の比例配分ルール比較
| 証券会社 | 最初の配分 | 同条件での優先 | 残りの配分 |
| SBI証券 | 注文条件の順位に従い、1注文につき1単元ずつ配分 | 発注時刻が早い注文。同時刻の場合は抽選 | 2単元以上の注文を対象に、2順目以降も1単元ずつ配分 |
| マネックス証券 | 注文条件の順位に従い、顧客ごとに1単元ずつ配分 | 発注時刻が早い注文 | 全顧客への配分後に残りがあれば、未約定数量に応じて按分 |
| 楽天証券 | 取引所から証券会社への配分方法を公式サイトで案内 | 顧客向けの具体的な優先順位は公式公開ページで確認できず | 「当社側の比例配分仕様は変更なし」と案内 |
| 松井証券 | 注文条件の順位に従い、顧客ごとに最低1単元を配分 | 注文株数が多い注文。同数なら受付時間が早い注文 | 未約定株数の合計に応じて按分 |
楽天証券については、公式サイトで顧客向けの細かな優先順位まで確認できないため、「発注時刻優先」などと推測で断定していません。実際に注文する前に最新の取引画面やカスタマーサービスで確認してください。
SBI証券の比例配分ルール
SBI証券の公式FAQでは、取引所から割当てを受けた場合、次の順番で配分すると案内しています。
- 成行注文
- 寄成注文
- 引成注文
- 不成注文
- 制限値段の指値注文・寄指注文
- 制限値段の引指注文
上記の順位に従い、1注文につき1単元ずつ原則配分します。一通り配分した後は、2単元以上の注文を対象に2順目以降も1単元ずつ配分します。
同じ注文条件では発注時刻が早い注文を優先し、発注時刻が同じ場合は抽選です。前営業日の大引け後から当日8時頃までの注文は同時刻として扱われるため、夜間に数分早く注文しただけで必ず有利になるわけではありません。
マネックス証券の比例配分ルール
マネックス証券の公式FAQでは、次の順番で顧客ごとに最低売買株数となる1単元ずつ配分します。
- 成行・成行(寄付指定注文)
- 指成・成行(引け指定注文)
- 指値・指値(寄付指定注文)
- 指値(引け指定注文)
同じ注文条件では、発注時刻が早い注文を優先します。注文を訂正した場合は訂正時刻が基準です。
すべての顧客へ1単元ずつ割り当てた後にも株式が残っている場合は、顧客ごとの未約定数量に応じて按分します。したがって、単純な「発注時刻優先」だけではなく、注文条件が先に判定される点が重要です。
楽天証券の比例配分ルール
楽天証券の公式サイトでは、ストップ配分において、注文数量の多い証券会社から少ない証券会社の順に1単元ずつ配分される仕組みを解説しています。これは取引所から証券会社への配分方法です。
また、2024年11月に導入されたクロージング・オークションに関する案内では、市場側のストップ配分と楽天証券側の比例配分の仕様に変更はないと回答しています。
一方、顧客への配分について、注文条件、発注時刻、数量をどの順序で判定するかは最新の公式公開ページで具体的に確認できません。そのため、旧来の「発注時刻優先」という情報だけを現在の確定ルールとして使うのは避けた方がよいでしょう。
松井証券の比例配分ルール
松井証券の現物取引ルールでは、1順目と2順目に分けて配分方法を説明しています。
1順目は、次の注文条件でグループ分けし、顧客ごとに最低1単元ずつ配分します。
- 最良成行
- 成行(執行条件なし)・寄付成行
- 指成・大引指成・引け成行・大引け成行
- 最良指値
- 指値(執行条件なし)・寄付指値
- 引け指値・大引け指値
値段と執行条件が同じ場合は注文株数が多い注文を優先し、注文株数も同じ場合は受付時間が早い注文を優先します。1人の顧客が複数の注文を出している場合でも、1順目は最も優先順位の高い注文に最低1単元のみ配分されます。
2順目は、顧客ごとの未約定株数の合計に応じて按分し、按分株数の多い顧客から配分します。以前のように「成行注文を優先して抽選」とだけ説明するのは、現在のルールとは一致しません。
比例配分を狙うときの注意点
早く注文しても必ず約定するわけではない
発注時刻を判定に使う証券会社でも、その前に注文条件が判定される場合があります。また、同時刻扱いや抽選になることもあるため、早い注文だけで配分が確定するわけではありません。
注文株数を増やせば有利とは限らない
SBI証券は最初に1注文につき1単元ずつ、マネックス証券と松井証券も1順目は顧客ごとに1単元ずつ配分します。必要以上に注文数量を増やしても、最初の1単元が配分されやすくなるとは限りません。
松井証券は、配分を目的とした約定意思のない「水増し注文」が市場の公正性を損なう可能性についても注意喚起しています。約定した場合に購入・売却できる範囲で注文することが前提です。
IPOの初値決定前は成行注文が使えない
新規上場銘柄は、初値が決まるまで成行注文が禁止されています。通常銘柄のストップ高比例配分と、IPO初値決定前の注文ルールを混同しないようにしてください。
ストップ高翌日の上昇は保証されない
比例配分で買えたとしても、翌営業日に株価が上昇する保証はありません。材料の織り込みや需給の変化によっては、翌日に売り気配やストップ安となる可能性もあります。配分方法だけでなく、購入後の価格変動リスクも考える必要があります。
比例配分ルールのまとめ
比例配分は、取引所から証券会社への配分と、証券会社から顧客への配分の二段階です。顧客への配分では、SBI証券は注文条件と発注時刻、マネックス証券は注文条件と発注時刻、松井証券は注文条件・注文数量・受付時間を組み合わせて判定します。
楽天証券については、公式公開ページで確認できない顧客向けの優先順位を推測せず、実際の注文前に最新情報を確認するのが安全です。証券会社のルールは今後も変更される可能性があるため、比例配分を狙う際は各社の公式情報を確認してください。
