ナルネットコミュニケーションズ(5870)がIPO(新規上場)承認発表されましたので、事業内容や考察および初値予想などに関する詳細をご紹介させて頂きます。昨日(11月21日)もまたIPO新規上場承認発表が1社あり、これで12月IPOは14社目となりました。
ナルネットコミュニケーションズ(5870)の上場日は2023年12月25日(月)で、今のところは単独上場、上場市場はIPO市場では人気の高い東証グロース市場への上場で、IPO主幹事はIPO申し込み時の前受け金が不要のみずほ証券となっております。
ナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO(新規上場)情報
設立:2019年7月18日
業種:サービス業
事業の内容:オートリース企業をはじめとする法人(自動車関連企業)・個人ユーザーに対する車両管理やメンテナンス管理事業
上場市場 | 東証グロース |
コード | 5870 |
名称 | ナルネットコミュニケーションズ |
公募株数 | 56,000株 |
売出し株数 | 2,241,900株 |
オーバーアロットメント | 344,600株 |
IPO主幹事証券 | みずほ証券 |
IPO引受幹事証券 | 安藤証券 岩井コスモ証券 岡三証券 SBI証券 東海東京証券 野村證券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 岡三オンライン(委託幹事決定) auカブコム証券(委託幹事決定) マネックス証券(委託幹事決定) 楽天証券(委託幹事決定) |
IPO発表日 | 11月21日(火) |
上場日 | 12月25日(月) |
仮条件決定日 | 12月5日(火) |
ブック・ビルディング期間 | 12月7日(木)~12月13日(水) |
公開価格決定日 | 12月14日(木) |
IPO申し込み期間 | 12月15日(金)~12月20日(水) |
上場時発行済株式総数 | 5,332,100株 |
時価総額 | 62.9億円 |
吸収金額 | 31.1億円 |
想定価格 | 1,180円(118,000円必要) |
そしてこのナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO幹事団(シンジケート)の中には岡三証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券が入っているため、グループ会社となる岡三オンラインとauカブコム証券がそれぞれIPO委託幹事(裏幹事)に入る可能性が高いです。
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ナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO(新規上場)事業内容等
ナルネットコミュニケーションズ(5870)は主にオートリース企業をはじめとする自動車関連企業へ法人・個人ユーザーに対して車両管理及びメンテナンス管理等業務を受託し、一般的な自動車向けサービスを提供しています。事業は自動車関連BPO事業の単一セグメントとなりますが、「メンテナンス受託事業」「MLS(マイカーリースサポート)事業」「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業」「その他」の4つに区分されています。
法人向けリースサービス提供者及び一般法人より車両管理における点検・車検・修理等メンテナンス管理部分を一括で受託します。メンテナンスについては全国の整備工場と連携して整備を依頼しています。リース期間に合わせてメンテナンス管理業務を受託しており、非常に安定した事業基盤となります。
個人向けリースサービス提供者に対してリース車両のメンテナンス管理業務を提供しています。メンテナンス受託事業では一般故障整備を含んだ契約内容となりますが、MLS(マイカーリースサポート)事業では決められたサイクルによる点検基本工賃と決められた作業及び消耗品交換のみの限定的な契約内容となります。
業務は全てBPO事業でありますが、メンテナンス受託事業及びMLS(マイカーリースサポート)事業のメンテナンス関連業務を除く、部分的なBPOビジネスとして、メンテナンス費用管理等のデータ管理サービス、タイヤ保管サービス、納税管理サービス等の車両に係る多種多様な業務を受託しています。
中古車売却、ワランティ(故障修理保険)、メンテナンスパック、オートリース等、上記メンテナンス受託事業、MLS(マイカーリースサポート)事業、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業に該当しない事業となります。
【手取金の使途】
手取概算額58,793千円については、①新商品を効率的に管理できる仕組みの構築を可能とする見積契約の開発費用として8,000千円(2024年5月充当予定)、②車両管理契約開始後の請求及び入金を管理する機能を強化する請求入金機能開発費用として50,793千円(2025年3月充当予定)に充当する予定です。
なお、上記調達資金については、具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用していく方針であります。
(ナルネットコミュニケーションズのIPO目論見書より一部抜粋)
ナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO初値予想主観及びIPO参加スタンス
ナルネットコミュニケーションズ(5870)の市場からの吸収金額はIPO想定価格1,180円としてオーバーアロットメント含め31.1億円と規模的に東証グロース市場への上場としては中型サイズとなり、やや荷もたれ感のある水準となります。IPO株数は公募株及び売り出し株合わせて22,979枚と比較的多めにありますが、海外投資家への販売はありません。
上述の通りナルネットコミュニケーションズ(5870)の事業内容はオートリース企業をはじめとする法人(自動車関連企業)・個人ユーザーに対する車両管理やメンテナンス管理事業ということで、これまでに蓄積した経験、知見、データベースを活用し、移動を支えるあらゆる人と企業の調整役として、リース会社から車輌管理と整備を請け負うBPO(Busuiness Process Outsourcing)などメンテナンス受託管理を主軸事業としています。
オートリース会社に対する管理車両やメンテナンスにかかるデータを効率的に管理し、適切な車両管理及びメンテナンスや残価保証に加え、個人向けリース商品の企画・提案、適正価格でのメンテナンスパック販売や車両買取、契約車両の情報確認や点検スケジュール、メンテナンス歴などを確認できるインターネット車両情報サービス「なるほどネット」の開発及び運営を行っています。
※上記動画再生時は音が出ますので音量にご注意下さい。
ナルネットコミュニケーションズ(5870)の株主の中にはベンチャーキャピタル(投資ファンド)の保有株が5社5,276,100株あり、今回のIPO(新規上場)に際する売り出しで2,241,900株放出するものの3,034,200株残ります。いずれも90日間及180日間のロックアップが掛かっていますが、4社1,134,804株は公開価格の1.5倍となればロックアップ解除され売却可能となります。
今回のIPO(新規上場)に際する募集株の内訳は公募株56,000株に対して売り出し株は2,241,900株で売り出し比率はおよそ40.0倍、売り出し放出人はジャフコ系ベンチャーキャピタル2社で、オーバーアロットメント分344,600株を含めたオファリング・レシオはおよそ49.5%と危険水準にあるファンドの出口(イグジット)案件となります。ジャフコ系ベンチャーキャピタル2社以外のベンチャーキャピタル(投資ファンド)の取得金額は1,611円及び1,612円となっています。
小売業者の問題ではあるものの、保険金の不正請求でイメージが悪くなっている自動車関連事業を営んでおり、業界全体に不信感が広がっていくことへの懸念がある中、ナルネットコミュニケーションズ(5870)でも「自動車保険の不正請求等の問題に関する整備業界への影響をアンケート調査」が実施されています。
現に9月26日(火)に上場した中古車流通プラットフォームの運営(小売業ではない)を行うオートサーバー(5589)も不正問題のあおりを受けてか、売りが殺到となった上に、初値買いに入った実需買い(シンジケートカバー除く)もわずか1.4億円程度しか入らず、今年(2023年)ワースト1の初値下落率(-14.6%)となりました。
ナルネットコミュニケーションズ(5870)は海外投資家への販売無しで、公開規模はIPO想定価格(1,180円)ベースで31.1億円と荷もたれ感が強く、まだまだ不正問題がくすぶっている自動車関連事業、さらにはオファリング・レシオ高めのファンドの出口(イグジット)案件と、ネガティブ材料が目立つことから、ひとまずの初値評価はD級評価といったところになるでしょうか。
年末IPOラッシュで選択肢が多い中、あえて突撃する理由が見当たらないため、管理人の個人的なこのナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO参加スタンスは現時点ではスルーとなる可能性が高いですが、最終的には今後の仮条件設定や大口(機関投資家、海外投資家)の評価、そして大手初値予想会社の見解などを見てから決めたいと思います。
ナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO(新規上場)業績等
ナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO経営指標
ナルネットコミュニケーションズ(5870)のIPO売上高及び経常利益
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