ケイファーマ(4896)がIPO新規上場)承認発表されましたので、事業内容や考察および初値予想などに関する詳細をご紹介させて頂きます。昨日(9月12日)はIPO新規上場承認発表が1社あり、10月IPOは7社目となりました。

IPO新規上場承認発表1社2023.9.12

ケイファーマ(4896)の上場日は2023年10月17日(火)で、今のところは単独上場、上場市場はIPO市場では人気の高い東証グロース市場への上場で、IPO主幹事もIPO愛好家人気の高いSBI証券となっております。ただ今回も銘柄的にIPOチャレンジポイントの話題は少なそうです。

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ケイファーマ(4896)のIPO(新規上場)情報

設立:2016年11月1日
業種:医薬品
事業の内容:医薬品の研究・開発・製造・販売、再生医療等製品の研究・開発・製造・販売

ケイファーマ(4896)IPO上場承認

上場市場東証グロース
コード4896
名称ケイファーマ
公募株数1,680,000株
売出し株数0株
オーバーアロットメント252,000株
IPO主幹事証券SBI証券
IPO引受幹事証券岡三証券
SMBC日興証券
岩井コスモ証券
極東証券
松井証券前受け金不要
楽天証券100%完全抽選
SBIネオトレード証券委託幹事決定
岡三オンライン委託幹事決定
IPO発表日9月12日(火)
上場日10月17日(火)
仮条件決定日9月27日(水)
ブック・ビルディング期間9月29日(金)~10月5日(木)
公開価格決定日10月6日(金)
IPO申し込み期間10月10日(火)~10月13日(金)
上場時発行済株式総数11,559,000株
時価総額120.2億円
吸収金額20.0億円
想定価格1,040円(104,000円必要)

※公募株式1,680,000株のうちの一部は欧州及びアジアを中心とする海外市場(米国及びカナダ除く)の海外投資家にも販売される予定となっており、国内販売株数及び海外販売株数の最終的な内訳は本募集及び引受人の買取引受による売出しの需要状況等を勘案した上で、公開価格決定日10月6日(金)に決定されます。

そしてこのケイファーマ(4896)のIPO主幹事はSBI証券となっており、平幹事の中には岡三証券が入っていることから、それぞれグループ会社となるSBIネオトレード証券岡三オンラインIPO委託幹事(裏幹事)に入る可能性が高いです。

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ケイファーマ(4896)のIPO(新規上場)事業内容等

ケイファーマ(4896)は有効な治療法が確立していない神経難病に対して、長年の基礎研究の成果を実用化し、慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業として、医薬品および再生医療等製品の研究・開発・製造・販売を事業目的としており、iPS細胞を活用した「iPS創薬事業」と「再生医療事業」のハイブリッドで慶應義塾大学医学部等の大学や研究機関と連携して研究開発を推進するとともに、バリューチェーンを構成する各企業とも連携して事業活動を推進しています。

ケイファーマ(4896)IPO事業内容

iPS創薬事業

創薬の研究開発の手法として、病気の患者由来のiPS細胞から分化誘導した神経細胞を用いた表現型スクリーニングによる化合物・薬剤候補分子の効率的なin vitroスクリーニングを実施しております。具体的には、患者から提供を受けた細胞を用いて疾患の特異的な情報を有するiPS細胞を樹立したうえで、神経細胞に分化誘導し、既存の数多くある化合物ライブラリーの中から、当該iPS細胞から分化誘導した神経細胞に対する各表現型に関して、その量や機能的な活性や反応を定性的又は定量的に測定をすることで、薬剤の候補となる可能性のあるヒット化合物を選別しております。
ケイファーマ(4896)IPO iPS創薬事業

再生医療事業

神経損傷疾患である脊髄損傷に対して、他家iPS細胞から分化誘導した神経前駆細胞を移植することで損傷部位の治療を行う再生医療の研究開発を推進しております。
ケイファーマ(4896)IPO再生医療事業


※上記動画再生時は音が出ますので音量にご注意下さい。

【手取金の使途】
手取概算額1,585,424千円に、海外販売の手取概算額(未定)及び本第三者割当増資の手取概算額上限241,113千円を合わせた手取概算額合計上限1,826,537千円については、①iPS創薬事業、再生医療事業のそれぞれのパイプラインの研究開発資金として1,277,537千円(2024年12月期700,000千円、2025年12月期 577,537千円)、②米国への今後設立予定である研究所の関連資金として300,000千円(2024年12月期 300,000千円)、③運転資金として249,000千円(2024年12月期249,000千円)に充当する予定であります。
なお、具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用する方針であります。
(ケイファーマのIPO目論見書より一部抜粋)

ケイファーマ(4896)のIPO初値予想主観及びIPO参加スタンス

ケイファーマ(4896)の市場からの吸収金額はIPO想定価格1,040円としてオーバーアロットメント含め20.0億円と規模的に東証グロース市場への上場としては中型サイズとなり、やや荷もたれ感のある水準となります。IPO株数は売り出し株無しの公募株のみで16,800枚と比較的多めにありますが、簡易型のグローバルオファリングとなるため、海外投資家への販売もあります。

上述の通りケイファーマ(4896)の事業内容は医薬品の研究・開発・製造・販売、再生医療等製品の研究・開発・製造・販売ということで、中枢神経疾患領域に対して、iPS細胞を活用したiPS創薬と脊髄損傷等の神経損傷部位に移植する再生医療等製品の開発を主な事業としています。

慶應義塾大学医学部等の大学機関や医療機関が保有する基礎研究の成果や特許等の知的財産権の独占的な実施許諾権等に基づいた開発パイプラインや、自らが基礎研究を進めた成果に基づいた開発パイプラインについて、製薬会社等のパートナーと、基礎/探索研究から企業治験の各段階において、共同研究開発や将来の製造販売等の権利の一部又は全部を譲渡するライセンス契約を締結して収入を受領するビジネスモデルとなっています。

ケイファーマ(4896)IPOビジネスモデル

ケイファーマ(4896)の株主の中にはベンチャーキャピタル(投資ファンド)の保有株が7社4,879,000株ありますが、今回のIPO(新規上場)に際する売り出しでの放出はありません。既存の上位株主及びベンチャーキャピタル(投資ファンド)には90日間及び180日間の任意ロックアップ及び6カ月間継続所有確約の制度ロックアップが掛かっていますが、ベンチャーキャピタル(投資ファンド)3社2,807,000株については公開価格の1.5倍となればロックアップ解除され売却可能となります。

公開規模はIPO想定価格(1,040円)ベースで20.0億円となりますが、公募株式1,680,000株のうちの一部は研究開発・流通等の経営戦略上の業務提携の関係を形成・発展させていくため3.0億円を上限、企業価値向上に資することを目的とするため2.0億円を上限として指定販売先(親引け先)に売付けする予定となっており、海外投資家への販売もあるため、海外投資家への販売分(未定)も含めると、公開規模は今よりも縮小されることになります。

ケイファーマ(4896)IPO指定販売先(親引け先)

ケイファーマ(4896)は設立(2016年)から間もないバイオベンチャーで、まだ継続的に売上を計上する段階には至っておらず、6期までは売上ゼロで収益も赤字でしたが、今期(第7期)はiPS細胞を活用した創薬事業で開発権・製造販売権許諾契約を締結したことに伴う契約一時金及びマイルストン収入としてアルフレッサ ファーマ株式会社からの売上が10.0億円発生し、収益も黒字となっています。

9月15日(金)上場予定だった創薬系バイオベンチャーのChordia Therapeutics(4895)は株式市場の動向等諸般の事情を総合的に勘案し上場中止という選択肢を取りましたが、今もなお株式市場は不安定な状態です。今回のケイファーマ(4896)は上場までたどり着けるでしょうか。

公開価格の1.5倍でロックアップ解除される株式が一定数あり、短期筋から毛嫌いされやすく博打的要素のあるバイオベンチャーとなるものの、募集株は売り出し株無しの公募株のみで、公募株の一部(5.0億円相当)を引き受けるコーナーストーン投資家(上場承認時に一定額の株式取得を約束する投資家)が存在することなどポジティブ要因もあります。ひとまずの初値評価はC級評価寄りのD級評価といった印象です。

いずれにしてもこういったバイオベンチャーのIPO参加スタンスは素人では判断が難しいため、現時点での管理人の個人的なこのケイファーマ(4896)のIPO参加スタンスは中立で、今後の仮条件設定や大口(機関投資家、海外投資家)の評価、そして大手初値予想会社の見解などを見てから決めたいと思います。ちなみに今回もSBI証券主幹事案件となりますが、人気IPOとはならない可能性が高いため、IPOチャレンジポイントの考察は無しの予定です。

ケイファーマ(4896)のIPO(新規上場)業績等

ケイファーマ(4896)のIPO経営指標
ケイファーマ(4896)IPO経営指標

ケイファーマ(4896)のIPO売上高及び経常損益
ケイファーマ(4896)IPO売上高及び経常損益

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