慶應義塾大学発ベンチャー企業の坪田ラボ(4890)で学校法人慶應義塾(元株主)によるロックアップ違反(制度ロックアップ違反)が上場日2022年6月23日(木)に起きていたようです。

坪田ラボ(4890)慶應義塾ロックアップ違反

制度ロックアップは上場申請直前事業年度以降に行った第三者割当等により株式の割当を受けた者は当該株式を一定期間、継続的に保有することが規定として求められています。

今回の坪田ラボ(4890)の場合は該当株主全員から上場日(2022年6月23日)以降6カ月経過する日までの間は株式を第三者に譲渡しない、やむを得ない理由があり第三者に譲渡する場合は事前に坪田ラボ(4890)に書面で通知する必要があるなどの記載がある制度ロックアップが掛けられていました。

上記のことから慶應義塾も2020年12月28日に16,000株の第三者割当を受けているため、この制度ロックアップに該当します。

坪田ラボ(4890)第三者割当等による株式等の発行内容

坪田ラボ(4890)第三者割当等による株式等の発行内容2

しかしながら慶應義塾坪田ラボ(4890)の保有株式16,000株を上場日(2022年6月23日)に以下の通り738円~794円で9回に分けてきれいさっぱり全株売却していたというわけです。

坪田ラボ(4890)上場日慶應義塾全株売却

坪田ラボ(4890)の初値は794円だったので初値で保有株の半分(8,000株)を売却していることがわかりますね。慶應義塾の取得単価は250円となるため、全株売却で8,272,500円の利益が出たことになります。

さらに上記事項判明後に坪田ラボ(4890)が慶應義塾及び当時IPO主幹事を務めていたSMBC日興証券に事実確認を行ったところ以下の事項が報告されております。

① 当社は「継続保有確約書の締結先に対して、制度ロックアップを再周知する様に」という主旨の通知を日本取引所自主規制法人の上場審査部から4月15日に受領したものの、この対応を失念していたこと。
② 上記もあって、慶應義塾が確約書におけるロックアップ条項の存在を認識ないままになっていたこと。
③ 日興証券は慶應義塾が所有する当社株式の口座受入れに当たり、当該株式が制度ロックアップの対象であることの確認が不十分であったことから、当該株式に売却規制登録の社内手続きを採ることの確認が漏れていたこと。
④ このため慶應義塾は売却前に日興証券に対してロックアップの対象であるかについて問い合わせを行ったものの、日興証券は当該規制の対象ではない旨の回答を行っていたこと。
⑤ なお慶應義塾は決して制度ロックアップ対象であることを把握したうえでの故意の売却でなく、あくまで制度ロックアップについて認識もれであったこと。
坪田ラボ(4890)の第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書より抜粋)

理解が間違えていたらすいませんが、上から順番に管理人が感じたままを簡単に要約すると以下の感じになるかと思います。

坪田ラボ(4890)が慶應義塾に制度ロックアップの再周知を忘れていた。
慶應義塾がロックアップの存在を把握していなかった。
SMBC日興証券が制度ロックアップ対象の株式であることの確認が漏れていた。
④ 売却前に慶應義塾SMBC日興証券からロックアップ対象ではないと間違った回答を受けていた。
慶應義塾の株式売却は故意でなく認識漏れであった。

慶應義塾はロックアップ条項の存在の認識が無かったものの、売却前にはSMBC日興証券にロックアップ対象であるかについての問い合わせを行っていると、どこかしら矛盾点があることはさておき、すべてにおいて「忘れていた」「把握していなかった」「漏れていた」と、なんともお粗末な内容に感じます。特にSMBC日興証券の確認不足はプロ(証券会社)としてどうかとも思います。

そもそもこのロックアップは違反しても罰則の無い曖昧な口約束的な制度です。今後も法人個人問わず利益追求型の投資家であれば知らぬ存ぜぬで、ロックアップ中の株式を何食わぬ顔で売却して来るかもしれません。もちろんIPO界にとっては不安材料となります。

直近では2021年3月にモダリス(4883)のIPO株をロックアップ期間内に個人投資家K氏が60万株(約18億円)売却したことが記憶に新しいでしょうか。すでに個人投資家K氏は賠償金として4億程度をモダリス(4883)に自主的に支払って解決しているようですが。

今回の坪田ラボ(4890)は1.6万株(約1,200万円)と少ないため、株価への影響はほぼ皆無だったと思われますが、金額云々ではなく、こういう事実があったということ自体に問題があるため、再発防止のためにもこの「ロックアップ違反」には何かしら罰則を付けるなど厳格な対応をしてほしいと願います。

投資家登録(無料)だけでAmazonギフト券1,000円GET!

CREAL
クリアル(CREAL)とAmazonギフト券1,000円GETのタイアップ開催中!

オススメ情報

IPO歴15年以上の管理人のIPO当選実績を基にランキング形式でIPO投資にオススメの証券会社をご紹介させて頂いております。
IPO投資用オススメ証券会社ランキング

IPO情報はもちろん、下記IPOゲッター公式LINEでしか語れないマル秘情報も配信頻度は多くありませんがたまに配信しています。もちろん1対1のチャットも可能ですよ。 line友だち追加