米国株へ投資するときは、株価だけでなく、売買手数料、為替コスト、現地費用、税金を確認する必要があります。証券会社の画面に「手数料無料」と表示されていても、すべての費用がなくなるとは限りません。
特に見落としやすいのが、日本円と米ドルを交換するときの条件と、米国株の配当にかかる現地税です。購入前に費用の全体像を把握しておくと、想定より手取りが少なくなる事態を避けやすくなります。
売買手数料、為替コスト、ETFなどの保有コスト、売却時の現地費用、配当・売却益への税金を分けて確認します。無料の項目だけで証券会社や商品を決めないことが大切です。
米国株にかかる主な費用
| 費用 | 発生する場面 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 売買手数料 | 米国株・米国ETFの購入と売却 | 料率、最低額、上限額、NISA優遇 |
| 為替コスト | 円と米ドルの交換 | 円貨決済・外貨決済、交換方法、適用レート |
| 保有コスト | ETF・投資信託の保有中 | 経費率、信託報酬、その他費用 |
| 現地諸費用 | 売却、ADRの保有、企業行動など | SEC Fee、ADR管理費用など |
| 税金 | 売却益、配当、分配金 | 日本課税、米国課税、NISA、外国税額控除 |

米国株の売買手数料
課税口座で米国株や米国ETFを売買すると、約定代金に応じた手数料がかかる証券会社があります。最低手数料、料率、上限額のほか、指定ETFの買付無料やNISAの手数料優遇も確認します。
例えば楽天証券では、2026年8月13日の確認時点で、課税口座の米国株式現物取引は約定代金の0.495%、上限22米ドルです。一方、NISA成長投資枠の米国株式と米国ETFは売買手数料無料と案内されています。
手数料体系は変更される可能性があります。実際に注文する前に、利用する証券会社の公式ページで最新条件を確認してください。
円貨決済と外貨決済の違い
米国株の購入方法には、日本円のまま注文する円貨決済と、事前に円を米ドルへ交換する外貨決済があります。
円貨決済
日本円の買付余力で注文できるため、米ドルを準備する手間を省けます。ただし、証券会社が定める為替レートや為替手数料が適用されます。注文時に表示される概算受渡金額と、実際の受渡金額が異なる場合もあります。
外貨決済
事前に米ドルを用意し、その米ドルで米国株を売買します。配当や売却代金を米ドルのまま次の投資へ使いやすい一方、どの為替取引を利用するかによって交換コストが変わります。
同じ証券会社でも、リアルタイム為替取引、定時為替取引、米国株の円貨決済では条件が異なることがあります。「1米ドルあたり何銭」という表示だけでなく、どの取引方法に適用される数字かを確認します。
為替はコストだけでなく損益にも影響する
米国株を米ドルで保有している間に円高が進むと、株価が変わらなくても円換算した評価額は下がります。反対に円安が進めば、円換算額を押し上げる方向に働きます。
例えば、米ドル建て株価が10%上昇しても、同じ期間に米ドルが円に対して大きく下落すれば、円で見た利益は10%より小さくなります。売買手数料が無料でも、為替変動による損失はなくなりません。
米国ETFと投資信託の保有コスト
米国個別株にはETFの経費率や投資信託の信託報酬はありません。一方、米国ETFには経費率、国内の投資信託には信託報酬などの保有コストがあります。
保有コストは毎年同じとは限らず、低ければ運用成績が必ずよくなるわけでもありません。連動する指数、分散の範囲、売買のしやすさをそろえたうえで比較します。
ETFと通常の投資信託の違いは、NISAの成長投資枠でETFを買うメリット・デメリットでも説明しています。
SEC FeeとADR管理費用
米国株の売却時には、米国証券取引委員会に関係するSEC Feeがかかる場合があります。金額は売却代金に対して小さいことが一般的ですが、料率は改定されるため固定額として覚えない方が安全です。
また、米国市場には米国以外の企業を表すADRが上場しています。ADRでは、配当支払時などに管理費用が差し引かれる場合があり、配当への現地課税も企業の本拠地によって異なります。
米国株の売却益にかかる税金
| 項目 | 課税口座 | NISA口座 |
|---|---|---|
| 売却益の日本課税 | 原則20.315% | 非課税 |
| 売却損の損益通算 | 一定の条件で可能 | 不可 |
| 損失の繰越控除 | 確定申告により最長3年 | 不可 |
| 米国株配当の米国課税 | 原則10% | 原則10% |
| 米国株配当の日本課税 | 米国税控除後の金額へ原則20.315% | 非課税 |
| 外国税額控除 | 確定申告で利用できる場合がある | 利用不可 |
日本の課税口座で上場株式等の売却益が出た場合、税率は所得税、復興特別所得税、住民税を合わせて原則20.315%です。特定口座の源泉徴収ありを選んでいる場合、証券会社が税額を計算して源泉徴収します。
NISA口座で購入した対象商品の売却益は、日本では非課税です。ただし、NISA口座の損失は税務上なかったものとされ、課税口座の利益や配当との損益通算はできません。
米国株の配当にかかる税金
日本の居住者が米国株から配当を受け取る場合、米国で原則10%が源泉徴収され、その残額に対して日本で原則20.315%が課税されます。外国法人からの配当には、日本株と同じ配当控除は適用されません。
課税口座では、確定申告をして外国税額控除を利用できる場合があります。ただし、所得税額などから計算する控除限度額があり、米国で引かれた金額が必ず全額戻る制度ではありません。
NISAでは日本側の配当課税はありませんが、米国で源泉徴収される原則10%は残ります。NISA口座内の配当は日本で非課税となるため、この米国税に外国税額控除は利用できません。
REIT、MLP、PTP、ADRなど、一般的な米国企業の株式と税務や費用が異なる商品もあります。名称だけで判断せず、証券会社の注意事項を確認してください。
証券会社を比較するときの確認項目
- NISAで米国株と米国ETFを取り扱っているか
- 売買手数料の料率、最低額、上限額
- NISAや指定ETFの手数料優遇
- 円貨決済と外貨決済の為替条件
- 米ドルの入出金にかかる手数料
- 取扱銘柄数ではなく、購入したい銘柄があるか
- 米株積立、配当再投資、少額取引への対応
- 特定口座、年間取引報告書、外国税額控除用書類
楽天証券ではNISAの米国株式・米国ETF売買手数料が無料と案内されていますが、為替、現地諸費用、ETFの経費率、外国税まで無料になるわけではありません。最新条件は楽天証券の公式情報で確認してください。
まとめ
米国株では、売買手数料だけでなく、為替コスト、ETFの保有コスト、現地費用、配当と売却益への税金を確認します。手数料無料という一つの条件だけで商品や証券会社を決めると、ほかの費用を見落とす可能性があります。
商品ごとの違いはNISAで米国株は買える?投資信託・ETF・個別株の違い、IPO資金との分け方はIPO投資家が米国株を組み合わせるメリットと注意点で整理しています。税務上の判断が必要な場合は、国税庁、税務署、税理士などへ確認してください。
